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2007年05月05日

尺八の音階を考える  [ 尺八楽理 ]

 いつものカフェ・ブルージュで、バンドをバックにドンパン節を吹くコトがあります。今までなんとなく演奏していましたが、ママにキーを尋ねたらFだとのコト。一尺八寸管で所謂「ロツレ音階」の曲は、実はF(ツ)を基音とした「ツレチハロ音階」「ツ調陽旋法」というコトになりそうです。また、Fメジャースケールは「ツレチほハロつツ」ですが、日本的な音階とされるヨナヌキにすると「ツレチハロ」となりますから、ツが基音と考えて間違いないと思われます(表記は「ウェブ尺八記譜法」による)。

 ピアノに併せて民謡尺八を吹く人はなかなかいないと思いますし(笑)、民謡に於いてキーは一本二本…で表しますから(八寸管の表吹きが六本で一寸長くなるごとに一本少なくなる)、西洋音階と結びつけるのはナンセンスなのかもしれませんが、やはり自分が演奏する楽曲のキーくらいは知っておきたいものです。しかし、ツが基音だからツレチ音階だと書いたら混乱するだけなので、「ロツレ(ツ調)」のように表現したいと思います。

 さて、民謡尺八の「表吹き」は所謂「ロツレチハ音階(ツ調)」です。女性の唄い手との合奏では、多くの場合一尺八寸(六本)から一尺六寸管(八本)の表吹きでの演奏になります。男性との合奏では完全四度下の「チハロつレ音階(ハ調)」となる「裏吹き」が多く使われます(一本から三本)。都山流尺八民謡集によると、その他の裏吹きとして「レほハロツ音階(ハの半音調)」や「ハっツレほ音階(ツの半音調)」も使われるとのコト。しかし、個人的にはツの半音調は七孔でないと使い辛いと感じます。

 邦楽ジャーナル2003年11月号に「アドリブ 教えて下さい!」という記事がありました。この中で、小湊昭尚さんが「一本の尺八を五つのパターンで吹き分けている」と解説されています。それぞれ「ツレチハロ(F調)」「ハロつレチ(C調)」「ほハロツレ(Bb調)」「レチはロつ(G調)」「ロつれチは(D調)」となり、最初の3つまではヨナヌキ(太字)にすると上記民謡の音階と共通します。

 ジャンルに拘らずに尺八を吹く人は、12音階全てのメジャースケールを吹けるように練習するべきなのでしょうが、最低でもこの5つのパターンは自由に使えるようになりたいものです。民謡で使う音階の練習にもなるワケで、表や裏とかではなく、満遍なくトレーニングしたいですね。

関連:
続・尺八の音階を考える
表吹きと裏吹き

投稿者 鈴木幻山 : 2007年05月05日 10:49

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